『永遠なる約束 1/4』
「布教活動?」
そう男が目の前の人物に声をかける。
そこには一組の男女がいた。いや、それは適切な表現ではない。見るものが見ればまずこう声をかけるだろう。
御兄妹ですか?と
しかし二人は兄妹ではない。男の方は見た目は青年と言えるだろう。実際の年齢も青年と呼ぶにふさわしいほど年を重ね
ている。女の方は・・・・まだ少女と呼んだ方が『適切』である。見た目はまだ13歳くらいだからだ。実際は15・・・もうすぐ
16の誕生日を迎えようとしているのに関らずだ。
「そう・・・布教活動よ」
しかし少女からは年齢・・・いや、見た目に関らずずっと落ち着いたフインキを感じる。
「ムリムリ、やめとけって。」
青年の方は目の前の少女に比べると落ち着きがないようだ。
「なぜ?」
「なぜって・・・むかないだろ?それともいつからアイリアは人付き合いがうまくなったんだ?」
アイリアと呼ばれた少女はその言葉になんの反応も示さない。しかし沈黙をしたままだ。
「それに分かっているのか?その対象の村、今妖魔が出るんだぜ。厄介事を押し付けられただけだぜ」
「人付き合いと布教活動は関係ない。」
すでに終わったと思っていた事を言われ青年の方は一瞬ほけっとした顔をする。アイリアと呼ばれた少女は意外に気にして
いるようだ。人付き合いが苦手であることに。
「とにかくだ。はっきり言おう。おまえ・・・嫌がらせだよ。ったくやだね〜。いじめって奴はどこに行っても」
青年は気を取りなおしてそう言う。
「アイリアがマイリー神殿の最高責任者の娘だからってひがんでいる奴の差し金だよ。大方、レグス司祭あたりの差し金だ
ろうよ。」
「でも神殿の決定。だから私は決定に従う。それが試練だから」
そう切り返されて男はなにも言えなくなる。この青年と少女は意外に長い付き合いである。青年はすでにあきらめさせること
は無理だとわかりため息を一つつく。
「出発は準備が出来次第。水と食料の準備は任せるわ」
アイリアの言い分だとこの青年はすでに付き合うことが決定しているようだ。
「やれやれ。明日はメルディ持祭とお茶の約束があったんだけどな・・・」
青年の言葉にアイリアは何の反応もしない。そんなアイリアを見るまでもなく青年は立ち上がり後で迎えに来ると言い残し部
屋を出る。
青年の出ていったドアを見ながらアイリアはありがとうの一言も言えない不器用な自分に内心いらつく。あの付き合いの長い
『相棒』は文句を言うがなんだかんだ言いながら自分を助けてくれる。今回の仕事でもそうである。「手伝って欲しい」とは一言
もいっていないのにあの青年は、手伝いことが決定しているような口ぶりである。
「(いずれちゃんと御礼を言わないといけないわね)」
しかし今回の仕事が、この後の自分とあの青年の運命を大きくかえることになるとは、予想することはできなかった。